特に目新しい内容は何もないのだけれど、初心者向けにレクチャーする機会があって、ちょっとまとめたので、それをここで公開します。
概略を知るための情報源
普段からアップ・トゥ・デイトな情報を仕入れたり、急に必要に迫られて制度等の概略を知りたい時に役立つ情報源。ここに列挙したもの他、分野によっては、その都度、検索で見つけたサイトから情報を仕入れてもよいと思う。
- 会計・監査と経営の情報ポータル(新日本有限責任監査法人)
- ニュース&ナレッジ(監査法人トーマツ)
- ビジネスに役立つ情報(あずさ監査法人)
大手3法人ともに、それなりに充実している。やはり、大手監査法人は人材層が厚いし、インフラも整っているし、お金もある。そんな大手監査法人が、広告宣伝活動の一環として有用な情報を無料で公開してくれているのだから、それを利用しない手はない。フリーライドしまくろう。3法人の中では、新日本のサイトが最も充実していると思う。特にRSSをフィードしているのは便利だ。しかも、そのRSSはFeed Burnerでフィードされている。利用者側には特にメリットはないけど、中のひとがそれだけネットリテラシーが高いというのは好印象だ。
- 会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)
個人会計士の方が運営しているブログで、会計や監査に関わるニュースがタイムリーにとりあげられている。このブログをRSSリーダーで購読するだけで、業界の最新情報にキャッチアップすることが可能だ。素晴らしい。
- 国税庁
国税庁のウェブサイト。各税目に関する概説、基本通達、よくある質問(ネットアンサー)などを調べることができる。また、確定申告とか証券税制とか、一般の人びとの関心が高い事項については、解説パンフレットが掲載されていたりして便利だ。実務上の込み入った論点の解決は難しいかもしれないけど、巧く使うと便利だと思う。国税庁に限らないが、中央省庁のウェブサイトというのは色々な情報が充実していて、使いようによっては便利だと思う。
ルールを調べるための情報源
概略をざっくり押さえるだけであれば、検索で見つけたウェブサイトとかブログの記事を参考にしてもよいと思うが、最終的に仕事上の判断をするときには、準拠すべきルール(法律、基準など)を原文で確認するのが望ましい。
- 法令データ提供システム
総務省が運営している法令データベース。日本で施行されている無数の法律が全て掲載されている。厳密に全てかどうかわからないけど、会社法や金商法、税法など、仕事で参照する必要がありそうな法律については全部閲覧できる。ただし、条文しか載っていないので読みにくいし、判例とか参考になる情報はない。それでも、これだけのものが無料で利用できるというのはとてもすばらしい。
- e法令集
印刷会社のプロネクサスが運営しているサービスで、イメージとしては監査小六法のオンライン版。税法が収録されていたりして、監査小六法よりも広い範囲をカバーしている。また、監査小六法が年に1回しかアップデートされないのに対して、オンラインの長所を活かして収録内容が常に最新に保たれているという長所もある。何らかの文書を書くときにコピペが使えるというのもメリットだろう。ただし、有料なので利用するにはお金を払う必要がある。また、紙に比べると一覧性が劣っているという欠点は否めない。
- 日本公認会計士協会
会計士協会が公表している委員会報告とか意見書とかを入手できる。会員であれば、会員専用ページからさらに色々な情報を入手できる。
- 財務会計基準機構
新しい会計基準などの公開草案を見ることができる。また、会員であれば会計基準や適用指針などを手に入れることができる。
事例を調べるための情報源
仕事上の判断をするときには、ルールを確認するのみならず、他社事例を参考にしたくなることがよくある。特に、会計方針とか科目の使い方とか、注記などだ。
- EDINET
金商法に基づく有価証券報告書、大量保有報告書などの電子開示システム。金融庁が運営している。上場企業等の財務情報を調べるほか、注記等の他社事例とかを探す際にも使える。欠点は、検索機能が弱いこと。また、閲覧中にセッションが切れやすいとかPermalinkが使えないとか、いろいろと難点がある。金融庁の中のひとのネットリテラシーの低さが垣間見える。
- EDGAR
EDINETの元となった米国SECの電子開示システム。SEC登録企業の財務情報等を入手できる。EDINETと異なり、閲覧中にセッション切れが起こるということはないし、各開示情報ページのPermalinkが活きている点は非常に便利。
- TDネット
東証等の全国の取引所が共同で運営している開示情報システム。上場企業の直近31日分の開示情報を閲覧できる。決算短信など、最新の財務情報、その他の開示情報を入手できる。他社事例を調べるのに使える。どちらかというと、たまにウォッチしていると、興味深い開示を行う企業があるので、そういう使い方の方が相応しい。
- eSPER
プロネクサスが運営している有報のデータベース。EDINETと違い、検索機能が優れているのが特徴。注記等の表示について他社事例を調べたいときに非常に便利。ただしこれも有料だ。まあ、普通の人がお金を払ってまで利用するほどのものではない。
好奇心を満たすための情報源
ネット上の情報は玉石混淆で、基本的に石ばかりだけれども、稀に質の高い情報を発信している専門家がいる。そういう質の高い専門家の思考に触れられるのは、ネットの素晴らしい点なので是非利用したい。ある意味では、娯楽の一種だろう。
- isologue
ネット上で一番有名な会計士、磯崎氏のブログ。最盛期にくらべると最近は、質、量ともに落ちてきているような気もするが、非常に興味深い記事がたまにあるので是非、RSSリーダーで購読したい。
- 会社法であそぼ。
法務省民事局で、現行会社法の起草に携わった実務担当者で、現在はTMI法律事務所のパートナーをしている葉玉氏のブログ。元LEC人気講師だけあって、その文章には人を惹きつけるものがある。
- ビジネス法務の部屋
大阪で企業法務にかかわる仕事をされている山口弁護士のブログ。内部統制だとか、会計分野と法務分野の業際にまたがる話題が豊富なので、会計分野の人にもオススメ。更新頻度が多いのもすばらしい。
その他、便利な情報源
知っていると情報収集に便利なことを一部紹介。
- 調べ方案内(国立国会図書館)
テーマ別に各種情報源が丁寧に列挙されている。情報源がネット上にある場合にはリンクも貼られている。あまり馴染みがない分野について調べ物をするときに非常に便利だ。プロのレファレンス・ライブラリアンのノウハウが凝縮されている。個人的には、大学院の勉強で各種レポートを書くときに活用させていただいている。
レクチャーをした際には、「会計事務所業務におけるインターネットリテラシーを高める」と題して1日コースだったので、この他にも色々なネタを話した。タブブラウザの使い方、RSSリーダの使い方、デュアルディスプレイ化のメリット、メモリを増設してPCのスピードを速くすること、ソーシャルブックマークや人力検索の活用、セキュリティへ注意を払うことなどだ。さすがに、それらをここで書いても意味がないので省略する。
そこでの僕のメッセージは、「職業的専門家にとって、時間は最も稀少な資源であり、人件費は唯一最大のコスト項目である。したがって、時間の有効活用と生産性向上を如何に図るかが重要となる。インターネットを上手に活用することは、生産性向上の一手段である。」という点だ。
もちろん、生産性向上の手段はネットの活用だけではない。段取りだとか、チームとしての生産性をどうやって向上させるかだとか、クライアントとのコミュニケーションを工夫するとか、いろいろある。今回の話はネットの活用に絞って話したという次第。
終わります。
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