「ウェブ2.0」はなぜ、もうからないのかと題する勝間さんの記事が人気を集めている。記事が公開されてから丸1日強が経過した現時点で、はてなブックマークで約200ほどのブックマークを集めている。ブックマークのタグやコメントを読んでみると、概ね、記事に対して好意的な感想が多いようだ。が、一部、記事の内容に対して批判的なコメントも散見される。
僕も少数派なのかもしれないが、勝間さんのこの記事について違和感を感じてしまった側の人間だ。その違和感の正体は何なのか考えてみると2つある。ひとつは、記事のタイトルや本旨が『「ウェブ2.0」はなぜ、もうからないのか』ということで、非常にとらえ処がなくて難しい問題に突っ込んで行っている割には中身が「ウェブ2.0」概念のほんの一部分についてのみ言及していて期待はずれだという点だ。もうひとつは、そのごく一部の限定的なビジネスモデルに関して言及するのに、使われているファクトとロジックが表層的な現象をなぞっているに過ぎないし、本質的な要因に切り込んでいない底の浅さを醸し出している点だ。もう少し言うと、ファクトにあたる部分に一部、真実でない事柄が書かれているのも違和感をもたらしている。
まず、記事のタイトルと積み上げている議論との間に大幅な乖離があるという点について。記事を読んでみると「儲かっていない」という主張が、YouTubeとニコニコ動画、そして株式会社WEB2.0という3つの事例から導かれている。動画共有サイトとシェアが下位であるSBMの事例のみを持ち出して、「ウェブ2.0が、・・」と一般化するような議論をしても説得力がイマイチだろう。そもそも、ウェブ2.0という概念は、その提唱者であるTim O'Reillyによる定義を見ればわかるとおり、非常に漠然としていて、広範囲にわたるものだ。この掴み処がない概念を一般化して語るのに、偏ったたった3つの事例から議論を始めるのは無理がある。GoogleAdsenseとAmazonとMixiの3つだけを引き合いに出して「ウェブ2.0はなぜ儲かるのか」という記事を書いたら、多分、批判されるけど、勝間さんの記事の議論も同様にいささか乱暴だということだ。書籍や各種記事を拝読する限り、勝間さんは非常に賢く、幅広い知見をお持ちのようなのでおそらく、そういうことがわかっていて確信的に書いているのだろうけど。
そして、議論の組み立てが表層的だという点について。勝間さんは記事の中で、現状のウェブ2.0が儲からない理由として3つの点を挙げている。
これって、やっぱりウェブ2.0が儲からない理由ではなくて、動画共有サイトが儲からない理由のように読める。ブログとか掲示板についても一瞬言及しているけど、文脈上、大筋では動画共有サイトが儲からない理由について述べているのだろう。で、記事の中で動画共有サイトとの対比で無料で見られるテレビについて言及している。
民放テレビ局が儲かるビジネスであるということはよく知られていることだ。これは何故だろうか?コンテンツの質が高いからだろうか?ビジネスモデルが確立しているからだろうか?参入障壁が高いからだろうか?たぶん、すべてについて概ねイエスなのだけど、それらをもたらしている根本的な要因は何かというと、それは、電波という有用かつ希少な資源を少数のプレーヤーで寡占しているからだ。
電波の有用性とは何かというと、ブロードキャストに非常に適しているということだ。すなわち、安価に比較的広範囲にいる大勢の人に対していっせいに情報を送りつけることができる。現在のウェブのテクノロージーではこの電波の有用性を超えることは難しい。サーバーだとか回線だとかがボトルネックになるからだ。そして、その有用な電波をごく少数のプレーヤーで寡占していて新規参入ができないので、独占超過利潤を皆で山分けをしているのだ。この状態は、だんだんと崩れながらも、当面は続くのではないかと思われる。
逆に言うと、動画共有サイトが儲からないのは、「電波を寡占する」というようなビジネスの核となる部分を作れていない点にあるのではないだろうか?
それから、重箱の隅をつつくようで恐縮だけど、記事の中で気になった表現について少し触れたい。
この有料コンテンツか無料コンテンツかという2元論はたぶん誤っている。勝間さんも、「無料コンテンツは玉石混交」と認めているように、無料コンテンツの中には探せば玉が混ざっていることがある。そして、テクノロジーの進歩のおかげで、そういったうずもれた玉を探し出すことは比較的容易になってきている。また、有料コンテンツの中にだって石が混ざっているだろう。社会人層にとって時間が貴重なのは確かにその通りだが、だからこそ、本当に賢い人は、有料であるか無料であるかとか、既存メディアが発信しているか、素人が発信しているかではなく、コンテンツの中身に価値があるか否かで取捨選択をしているのではないかと推測するが、どうだろうか?
大学院の授業のなかで何回か先生が発した質問がある。「今朝の日経新聞に、1面広告が○個載っていたけど、そのうち何個覚えている?」人によって数は違ってくるだろうけど、あまり覚えてない人がほとんどではないだろうか?新聞広告の効果なんてその程度のものだ。CGMの広告効果が高いとは言えないけど、有料の新聞、雑誌だってたいしたことがないよね。
最後に念のため書いておくと、僕は別にウェブやCGMが絶対的に正しいとか、既存メディアが必要ない、と主張したいわけではない。どちらにも、長所もあれば限界もある、単純な2元論で議論するのではなくて、情報を摂取する側が必要に応じて使い分ければいいだけだと考えている。ビジネスモデルに関しても、ポジショニングとか、差別化されたリソースの存在が重要だよね、というだけのこと。あたりまえの結論になってしまって、何も書いていないのと一緒だけど。。
それから、勝間さんという方は、やはりすごいと思う。おそらく、短時間でさらっと書いた記事であってもネット上であれだけアテンションを集めているし、それだけアテンションを集められるのは記事の中身に説得力があるからであり、僕がネチネチと指摘したような点は、おそらく本人はわかっていて捨象しているのだろう。そうすることによって、細かい突込みを受ける余地を残しながらも、万人に理解されやすい文章を書いているものと推測される。その域に達するのは、僕には難しいなぁ。
この記事は微妙
(笑)をいっぱいつけたくなる記事
web2.0についての知識が浅い感じ
苦笑。こいつの「ウェブ2.0」と言うのは動画共有サイトみたいなものしかないのか。
でも記事の細かいところにものすごい違和感が。
僕も少数派なのかもしれないが、勝間さんのこの記事について違和感を感じてしまった側の人間だ。その違和感の正体は何なのか考えてみると2つある。ひとつは、記事のタイトルや本旨が『「ウェブ2.0」はなぜ、もうからないのか』ということで、非常にとらえ処がなくて難しい問題に突っ込んで行っている割には中身が「ウェブ2.0」概念のほんの一部分についてのみ言及していて期待はずれだという点だ。もうひとつは、そのごく一部の限定的なビジネスモデルに関して言及するのに、使われているファクトとロジックが表層的な現象をなぞっているに過ぎないし、本質的な要因に切り込んでいない底の浅さを醸し出している点だ。もう少し言うと、ファクトにあたる部分に一部、真実でない事柄が書かれているのも違和感をもたらしている。
まず、記事のタイトルと積み上げている議論との間に大幅な乖離があるという点について。記事を読んでみると「儲かっていない」という主張が、YouTubeとニコニコ動画、そして株式会社WEB2.0という3つの事例から導かれている。動画共有サイトとシェアが下位であるSBMの事例のみを持ち出して、「ウェブ2.0が、・・」と一般化するような議論をしても説得力がイマイチだろう。そもそも、ウェブ2.0という概念は、その提唱者であるTim O'Reillyによる定義を見ればわかるとおり、非常に漠然としていて、広範囲にわたるものだ。この掴み処がない概念を一般化して語るのに、偏ったたった3つの事例から議論を始めるのは無理がある。GoogleAdsenseとAmazonとMixiの3つだけを引き合いに出して「ウェブ2.0はなぜ儲かるのか」という記事を書いたら、多分、批判されるけど、勝間さんの記事の議論も同様にいささか乱暴だということだ。書籍や各種記事を拝読する限り、勝間さんは非常に賢く、幅広い知見をお持ちのようなのでおそらく、そういうことがわかっていて確信的に書いているのだろうけど。
そして、議論の組み立てが表層的だという点について。勝間さんは記事の中で、現状のウェブ2.0が儲からない理由として3つの点を挙げている。
(1)他のメディアに比べたときのコンテンツの質の低さ
(2)ビジネスモデルの成熟度の低さ
(3)参入障壁の低さ
これって、やっぱりウェブ2.0が儲からない理由ではなくて、動画共有サイトが儲からない理由のように読める。ブログとか掲示板についても一瞬言及しているけど、文脈上、大筋では動画共有サイトが儲からない理由について述べているのだろう。で、記事の中で動画共有サイトとの対比で無料で見られるテレビについて言及している。
民放テレビ局が儲かるビジネスであるということはよく知られていることだ。これは何故だろうか?コンテンツの質が高いからだろうか?ビジネスモデルが確立しているからだろうか?参入障壁が高いからだろうか?たぶん、すべてについて概ねイエスなのだけど、それらをもたらしている根本的な要因は何かというと、それは、電波という有用かつ希少な資源を少数のプレーヤーで寡占しているからだ。
電波の有用性とは何かというと、ブロードキャストに非常に適しているということだ。すなわち、安価に比較的広範囲にいる大勢の人に対していっせいに情報を送りつけることができる。現在のウェブのテクノロージーではこの電波の有用性を超えることは難しい。サーバーだとか回線だとかがボトルネックになるからだ。そして、その有用な電波をごく少数のプレーヤーで寡占していて新規参入ができないので、独占超過利潤を皆で山分けをしているのだ。この状態は、だんだんと崩れながらも、当面は続くのではないかと思われる。
逆に言うと、動画共有サイトが儲からないのは、「電波を寡占する」というようなビジネスの核となる部分を作れていない点にあるのではないだろうか?
それから、重箱の隅をつつくようで恐縮だけど、記事の中で気になった表現について少し触れたい。
他にも、ブログや掲示板など、無料型のコンテンツに集中してアクセスするのは時間が余っている主に若年層であり、ある程度お金に余裕が出てきた社会人層は、残念ながら時間の方が貴重になるため、無料コンテンツにアクセスしたり、あるいは自身がコンテンツの提供者になったりするような余裕はなくなるのである。
この有料コンテンツか無料コンテンツかという2元論はたぶん誤っている。勝間さんも、「無料コンテンツは玉石混交」と認めているように、無料コンテンツの中には探せば玉が混ざっていることがある。そして、テクノロジーの進歩のおかげで、そういったうずもれた玉を探し出すことは比較的容易になってきている。また、有料コンテンツの中にだって石が混ざっているだろう。社会人層にとって時間が貴重なのは確かにその通りだが、だからこそ、本当に賢い人は、有料であるか無料であるかとか、既存メディアが発信しているか、素人が発信しているかではなく、コンテンツの中身に価値があるか否かで取捨選択をしているのではないかと推測するが、どうだろうか?
広告モデルがなかなか成り立たないことがある。なぜなら、まずコンテンツの質が低いため、お金はないが時間があるようなタイプのユーザーを引きつけがちで、有料コンテンツである雑誌や新聞に比べ、トラフィックの割に広告効果が低いのである。
大学院の授業のなかで何回か先生が発した質問がある。「今朝の日経新聞に、1面広告が○個載っていたけど、そのうち何個覚えている?」人によって数は違ってくるだろうけど、あまり覚えてない人がほとんどではないだろうか?新聞広告の効果なんてその程度のものだ。CGMの広告効果が高いとは言えないけど、有料の新聞、雑誌だってたいしたことがないよね。
最後に念のため書いておくと、僕は別にウェブやCGMが絶対的に正しいとか、既存メディアが必要ない、と主張したいわけではない。どちらにも、長所もあれば限界もある、単純な2元論で議論するのではなくて、情報を摂取する側が必要に応じて使い分ければいいだけだと考えている。ビジネスモデルに関しても、ポジショニングとか、差別化されたリソースの存在が重要だよね、というだけのこと。あたりまえの結論になってしまって、何も書いていないのと一緒だけど。。
それから、勝間さんという方は、やはりすごいと思う。おそらく、短時間でさらっと書いた記事であってもネット上であれだけアテンションを集めているし、それだけアテンションを集められるのは記事の中身に説得力があるからであり、僕がネチネチと指摘したような点は、おそらく本人はわかっていて捨象しているのだろう。そうすることによって、細かい突込みを受ける余地を残しながらも、万人に理解されやすい文章を書いているものと推測される。その域に達するのは、僕には難しいなぁ。
コメントする