つい最近、ネット上での動画配信ビジネスの有望性について議論する機会があったので、その時の自分の主張を書いてみたい。
ちなみに、僕の動画配信ビジネスに関する基本的な考え方は1年以上前に書いた
ニコニコ動画のビジネスモデルと可能性とあまり変わっていないので、そっちも併せて参照いただけると幸いである。
さて、その先日の議論では、ある人が「中国や韓国の違法配信サイトの存在により、国内の有料配信モデルは消滅してしまうのではないか」という主張したので、僕は真っ向から反対した。違法配信サイトの存在が有料配信モデルを消滅に追い込むことなどあり得ない。
論拠は次のとおり2つある。
1.収益構造の問題から無料モデルの継続性に疑問があること。
2008年現在の技術水準では無料の動画配信サイト(広告モデル)は黒字化が不可能である。1PV(あるいは、単位時間)あたりの広告収入と1PV(あるいは、単位時間)あたりのサイト運営コストを比較すれば、まだまだ後者の方が圧倒的に高い。今現在の技術水準では、無料ブログ事業者の一部が黒字化に転換した程度であり、無料ブログの運営コストさえ賄えない事業者もある。そんな中、違法配信サイトが動画配信という強力なインフラを必要とするビジネスを無料モデルで存続させるのはかなり難しい。
2.有料モデルの方がロングテールを形成しやすいこと
YouTubeやニコニコでCGMと呼ばれる素人コンテンツの可能性が開いたのは間違いないが、コストと人手と才能をつぎ込んだプロ作品への一般消費者のニーズは確実に存在し続けている。そういったコンテンツの製作者や投資家にお金が還元される仕組みとして、テレビ放送やDVDの役割が低下しているのであれば、ネット上の有料配信の出番となる。権利者がネット上の有料配信を重視すれば、有料モデルの上で配信されるコンテンツの量は増え、ロングテールが形成されるとともに利便性の高いものとなるだろう。一方、無料モデル上での海賊行為は違法であるがゆえに持続性がないし、アップされる作品の網羅性というかロングテール形成の部分でかなり不利である。
違法動画サイトはコンテンツの網羅性が担保されていないので、好きなときに好きな作品を見ることができるというネット配信の長所が活きない。それに対して、ロングテールの形成とユーザーの利便性追及にひたむきに取り組んだ有料配信事業者は、ユーザーからの支持を得て今後も成長し続けるだろう。
ジョブズは次のように述べ、iTunes Storeは違法ダウンロードに負けることなく音楽配信プラットフォームとしての確固たる地位を築いた。
"We're going to fight illegal downloading by competing with it," said Jobs. "We're not going to sue it. We're not going to ignore it. We're going to compete with it."
「われわれは違法ダウンロードと戦う。訴えるつもりも、無視するつもりもない。競争するつもりだ」とジョブズCEOは述べた。
動画についても、有料配信モデルの強力なプラットフォームが出現するのは時間の問題だろう。
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