LOVE ME COMPANY! 愛される会社の条件

LOVE ME COMPANY! 愛される会社の条件―新しいCSRの考え方―バイ・ミー!からラブ・ミー!へ


僕は個人的には、企業がCSRに取り組むことについて懐疑的な考えを持っている。CSRということを主張する人を見たときに、まず感じるのが偽善臭さであり、現実感がない痛さだったりする。でも、本当はそういう偏った見方しかできない僕の方が痛いのかもしれない。大学院の授業でも、企業の倫理観や企業の社会的な責任についての講義がとにかくしつこいほどある。それだけ授業を受けてもなお、個人的にはCSRという考え方に馴染めない。倫理的に正しいことをするのも、コンプライアンスも当たり前のことであるし、これらについては特に異論はない。でも、CSRというコンセプトには、これらの当たり前のことを踏み越えたところまで積極的に取り組むことを抱合しているような印象がある。営利を目的とする企業が本当にそこまでする必要があるのか?また、企業がCSRに取り組むが故に利潤追求行為をオミットすることは、マーケットメカニズムが一部働かなくなることを意味するが、本当に世の中の厚生を改善するのか?といった疑問が湧いてくる。

そんなCSRに懐疑的な僕でも「うーん」とうなってしまうのが、本書に出てくるいくつかの企業の事例だ。J&Jやスターバックス、シャネル、アフラックといった企業の具体的な取り組みが採り上げられているが、これらの企業に共通するのはCSR的な考え方、行動が組織のDNAレベルにまで浸透していて、当たり前のように実践されている点、そして、それが競争力の源泉にまで昇華している点だ。CSRが経営の重石になっているのではなくて、逆に、ブランドの価値を高め、従業員の能力をフルに引き出し、強力な競合優位性をもたらしているのだ。これらのファクトを目の前に突きつけられると、僕でさえも、CSRに真正面から取り組むことの有効性を認めざるを得なくなる。特に「我が信条(Our Credo)」を掲げ、130年近い歴史でずっと成長を続けてきたジョンソン・エンド・ジョンソンなど驚愕に値する。

本書の中には印象的なエピソード、言葉というのがたくさん出てくるのだが、個人的に一番印象に残っているのが次の部分だ。

創業からアフラックをずっと見てきた、現在会長兼CEOのダン・エイモスが、これは米国、日本を含めてアフラックの全社的な大事な考え方としてもっているのですが、「If you take care of the people, the people will take care of the business」といっています。「人材を大切にすれば、その人材が必然的にビジネスの成功をもたらしていく」という考え方です。非常に高いレベルで仕事をするときには、人材の教育・育成をしていかなければいけないですし、ビジネスプロフェッショナルとしての活動を、私どもも社員に期待するわけです。

深読みしすぎかもしれないが、愛情の伴った厳しさのようなものを感じた。組織で人を使いながら仕事をするときには、こういう考え方を心に留めておいたほうがいいだろう。僕も、いつの日か従業員を雇うことになったときには思い出したい。
           

前後の記事

           

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://mbcs.jp/ac/Bt7cj4r9ErXz.cpa/972/love_me_company.html

コメントする

(RSS1.0/RSS2.0/Atom)

この日記のはてなブックマーク数

最近のブログ記事