港区赤坂四畳半社長のエントリを読んでいたらふと出てきた次のフレーズに目が止まった。当該エントリの主題は別のところにあるので、書いている本人はサラッと書いたと推測されるが、Eコマースに興味をもっている僕としては結構気になった。
書いてあることは正しくそのとおりで、Eコマースサイトの経営で月に100万円の利益を出すのは並大抵のことではない。本当に大変だ。Eコマースはなぜそんなに儲からないのだろうか?単純な損益分岐点分析の図を書きながら考えてみた。
Eコマースが儲からない理由は、モノを売っているからに他ならない。あたりまえじゃないか、という声が聞こえてきそうだが、インターネットでモノを売ることが商売の構造としてどれだけ大変か書いてみたい。
まず、モノを売るということは、それが売れる度にモノの原価がかかるということだ。100円の売上があっても、その商品原価がかならず60円とか70円かかる。ネット上のコンテンツ販売であれば、権利関係にもよるのだろうけど、ここの部分はほとんどかからない場合というのもある。しかし、物理的にモノを売っている限り原価が必ずかかる。
そして、インターネットでモノを売るということは通信販売だということであり、モノを配送するための宅配便送料、ダンボール代、代金を決済するためのカード手数料なんかがかかる。こういう手数料を最終顧客に課金している事業者もあるけれど、Amazonが1,500円で送料がタダとなる課金体系を採っているので他の事業者も引きずられて、手数料部分が事業者の持ち出しとなっている事例も少なくないだろう。100円の売上があっても、これらの手数料が10円とか20円かかってくる。そうすると、先ほどの商品原価と併せて、売上100円あたり70円~90円のコストがかかる計算になる。すなわち、100円売り上げても利益は10円~30円しか残らないのだ。
モノを売るのではなくてコンテンツを売っていたりするのであれば、繰り返しになるが商品原価がかからない場合があるし、少なくとも配送の必要がなくなるので、変動比率はかなり圧縮できる。この変動費率、補数としての限界利益率の損益構造は、事業者によってそれぞれ異なるはずだが、モノを売っているEコマース事業者の限界利益率が総じて低いと推測される。
そして、モノを売るということはサプライチェーンのコントロールをしっかりやる必要があるということだ。販売機会を逃したり、最終顧客への配送遅延を無くすためには必要な在庫をしっかりと抱えておく必要があるし、最終顧客から受注があればその在庫を引き当て、速やかに出荷指示に回さなくてはならない。当然だが、この在庫引当の精度を上げようとして在庫量を増やせば運転資金が圧迫されてくるし、売れ残れば全て損失である。その意味でモノを売るEコマースではサプライチェーンのコントロールがとても重要だ。インターネットを活用しているとは言っても、Eコマースも小売業の一形態に過ぎないのである。
小売事業者であるEコマース事業者がサプライチェーン周りのオペレーションをしっかりとやろうとすると、それなりにインフラを整備しなくてはならない。市川にあるアマゾン市川フルフィルメントセンターなんかは、その典型的な事例と言えるだろう。ここまで大きな拠点をもっている事業者はないだろうが、本気でEコマースをやっている会社は物流拠点の整備にはしっかりお金をかけている。例えば、スタートトゥデイの物流拠点移転計画なんかが挙げられる。プロロジスパークに入居するっていうことは賃借なんだろうけど、それでも3億円の設備投資が必要になるっていうことは内部設備に結構お金がかかるのだろう。
と、Eコマースの場合は限界利益率が低いことに加え、インフラ整備でかなりの固定費がかかるので損益分岐点が高くなりがちである。売上高の水準が損益分岐点を越えていたとしても、モバイル公式サイトの運営と比べてしまえば、その利益水準の低さは一目瞭然である。不適切な表現かもしれないが、Eコマースというのはビジネスとしては筋が悪いのかもしれない。がんばってインフラを整備して、努力して努力して売上を伸ばしても利益がなかなかでないというのは、悲しい。Eコマースでまともに利益を出そうとすれば、元祖EコマースのAmazonのように圧倒的な売上規模を実現しないとならないのかもしれない。
じゃあ、Eコマースというビジネスは商売として意味がないのかといえば、そんなことはない。たまたま同じIT系、インターネット系ということでモバイル公式サイトなんかと比べるから、その低い利益率に悲しくなってくるのであって、リアル世界の小売業と比べてみればまた違った風景が見えてくる。
各地に店舗を構えてチェーンオペレーションを行っている小売業の事業者と比べてみれば、Eコマースの可能性も捨てたものではない。店舗をたくさん構えて、それぞれのお店で人件費と償却費、賃料、光熱費を負担して、それぞれの店舗に在庫をストックしている場合と比べれば、Eコマースの事業者が少ない拠点数で集中的にオペレーションを行っている場合の方がコスト構造が有利になる可能性がある。
もちろん、繰り返しになるがEコマースは通販なので通販特有の送料だとかカード手数料なんかも考慮しなくてはならない。そこまで考慮したうえで、最終消費者に提示できるモノの選択肢の拡がりだとか価格だとか、付随する情報(例えばAmazonの書評機能)だとか、そういった面で、リアルなチェーンオペレーションとネットを活用したEコマースのどちらが訴求できるのか、ビジネスとして成功するのか、ということなのだろう。
次回、余裕があれば、モバイル公式サイトが儲かる理由を考えてみたい。
Eコマースサイトの経営で月に100万円の利益を出すのは並大抵のことではないけれど、モバイル公式サイトなら簡単だからだ。
書いてあることは正しくそのとおりで、Eコマースサイトの経営で月に100万円の利益を出すのは並大抵のことではない。本当に大変だ。Eコマースはなぜそんなに儲からないのだろうか?単純な損益分岐点分析の図を書きながら考えてみた。
Eコマースが儲からない理由は、モノを売っているからに他ならない。あたりまえじゃないか、という声が聞こえてきそうだが、インターネットでモノを売ることが商売の構造としてどれだけ大変か書いてみたい。
まず、モノを売るということは、それが売れる度にモノの原価がかかるということだ。100円の売上があっても、その商品原価がかならず60円とか70円かかる。ネット上のコンテンツ販売であれば、権利関係にもよるのだろうけど、ここの部分はほとんどかからない場合というのもある。しかし、物理的にモノを売っている限り原価が必ずかかる。
そして、インターネットでモノを売るということは通信販売だということであり、モノを配送するための宅配便送料、ダンボール代、代金を決済するためのカード手数料なんかがかかる。こういう手数料を最終顧客に課金している事業者もあるけれど、Amazonが1,500円で送料がタダとなる課金体系を採っているので他の事業者も引きずられて、手数料部分が事業者の持ち出しとなっている事例も少なくないだろう。100円の売上があっても、これらの手数料が10円とか20円かかってくる。そうすると、先ほどの商品原価と併せて、売上100円あたり70円~90円のコストがかかる計算になる。すなわち、100円売り上げても利益は10円~30円しか残らないのだ。
モノを売るのではなくてコンテンツを売っていたりするのであれば、繰り返しになるが商品原価がかからない場合があるし、少なくとも配送の必要がなくなるので、変動比率はかなり圧縮できる。この変動費率、補数としての限界利益率の損益構造は、事業者によってそれぞれ異なるはずだが、モノを売っているEコマース事業者の限界利益率が総じて低いと推測される。
そして、モノを売るということはサプライチェーンのコントロールをしっかりやる必要があるということだ。販売機会を逃したり、最終顧客への配送遅延を無くすためには必要な在庫をしっかりと抱えておく必要があるし、最終顧客から受注があればその在庫を引き当て、速やかに出荷指示に回さなくてはならない。当然だが、この在庫引当の精度を上げようとして在庫量を増やせば運転資金が圧迫されてくるし、売れ残れば全て損失である。その意味でモノを売るEコマースではサプライチェーンのコントロールがとても重要だ。インターネットを活用しているとは言っても、Eコマースも小売業の一形態に過ぎないのである。
小売事業者であるEコマース事業者がサプライチェーン周りのオペレーションをしっかりとやろうとすると、それなりにインフラを整備しなくてはならない。市川にあるアマゾン市川フルフィルメントセンターなんかは、その典型的な事例と言えるだろう。ここまで大きな拠点をもっている事業者はないだろうが、本気でEコマースをやっている会社は物流拠点の整備にはしっかりお金をかけている。例えば、スタートトゥデイの物流拠点移転計画なんかが挙げられる。プロロジスパークに入居するっていうことは賃借なんだろうけど、それでも3億円の設備投資が必要になるっていうことは内部設備に結構お金がかかるのだろう。
と、Eコマースの場合は限界利益率が低いことに加え、インフラ整備でかなりの固定費がかかるので損益分岐点が高くなりがちである。売上高の水準が損益分岐点を越えていたとしても、モバイル公式サイトの運営と比べてしまえば、その利益水準の低さは一目瞭然である。不適切な表現かもしれないが、Eコマースというのはビジネスとしては筋が悪いのかもしれない。がんばってインフラを整備して、努力して努力して売上を伸ばしても利益がなかなかでないというのは、悲しい。Eコマースでまともに利益を出そうとすれば、元祖EコマースのAmazonのように圧倒的な売上規模を実現しないとならないのかもしれない。
じゃあ、Eコマースというビジネスは商売として意味がないのかといえば、そんなことはない。たまたま同じIT系、インターネット系ということでモバイル公式サイトなんかと比べるから、その低い利益率に悲しくなってくるのであって、リアル世界の小売業と比べてみればまた違った風景が見えてくる。
各地に店舗を構えてチェーンオペレーションを行っている小売業の事業者と比べてみれば、Eコマースの可能性も捨てたものではない。店舗をたくさん構えて、それぞれのお店で人件費と償却費、賃料、光熱費を負担して、それぞれの店舗に在庫をストックしている場合と比べれば、Eコマースの事業者が少ない拠点数で集中的にオペレーションを行っている場合の方がコスト構造が有利になる可能性がある。
もちろん、繰り返しになるがEコマースは通販なので通販特有の送料だとかカード手数料なんかも考慮しなくてはならない。そこまで考慮したうえで、最終消費者に提示できるモノの選択肢の拡がりだとか価格だとか、付随する情報(例えばAmazonの書評機能)だとか、そういった面で、リアルなチェーンオペレーションとネットを活用したEコマースのどちらが訴求できるのか、ビジネスとして成功するのか、ということなのだろう。
次回、余裕があれば、モバイル公式サイトが儲かる理由を考えてみたい。
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