ふとしたきっかけで大塚製薬グループの資本関係を調べてみたら、これが思っていた以上に複雑で奥深いものだった。
大塚製薬は未上場優良企業として有名であるが、EDINETで検索をしてみると有価証券報告書を提出していることがわかった。株式の状況を見てみると、未上場ながら株主数が5千人もいる。大株主を調べてみると筆頭株主は大塚化学ホールディングスで大塚製薬に15.2%出資している。
念のため大塚化学ホールディングスをEDINETで検索してみると、こちらも未上場会社ながら有価証券報告書を提出していることがわかった。こちらも株主数が5千人もいる。大株主を調べてみると筆頭株主は大塚製薬工場で11.2%の出資だ。で、大塚製薬工場は大塚製薬が60%出資する子会社である。あれ。1週してしまった。というわけで調べながら判明した点を図解したのが上記である。情報源は主に各社の有価証券報告書であり、全て一般に公開されているものである。
調べてみた点、図解の内容などを箇条書きにすると次のようになる。
○大塚製薬グループには未上場ながら有価証券報告書を提出している会社がある
・大塚製薬株式会社
・大塚化学ホールディングス株式会社
・大鵬薬品株式会社
○上記3社のうち大塚製薬グループの中核ともいえる大塚製薬株式会社と大塚化学ホールディングス株式会社については、株主数がそれぞれ5千人もいる。2社とも上位大株主の持ち株数を足しても半数に届かず、過半の株式が広く散逸しているものと推測される。
○大塚製薬グループには上場企業もある
・アース製薬株式会社
・ニチバン株式会社
・株式会社阿波銀行 出資比率は小さくグループ扱いはされていないが大塚製薬グループが筆頭株主
○大塚製薬グループの未公開株をめぐっては詐欺等も起きているようである。
当社株式に関するお知らせ(大塚製薬HP)
業績絶好調の優良企業である大塚製薬グループだが、資本政策の面で大きな課題を抱えているようだ。グループ企業間の資本関係をきれいに整理する必要があるだろうし、多くの個人株主に散逸してしまった株式を何とか整理する必要もあるだろう。
グループ企業の資本関係の整理に当たっては、会社法で用意されている様々な組織再編の仕組みと税務上の制度(特に法人および個人への課税を抑えるように)を組み合わせながらスキームを作っていく必要があるだろう。また、散逸してしまった大塚製薬と大塚化学ホールディングスの株式の方は、もっと頭が痛い問題だろう。株主名簿の書き換えに取締役会の承認を要する譲渡制限会社とはいえ、自社の株式の過半を実質的にどこの誰が保有しているのかわからない状態と言うのはこわいのではないか。
上場を目指しているという記事が日経に書かれたこともあるようだが、上場するのであれば資本政策面の2つの課題をクリアする必要があるだろう。もし僕がスキームを組むのであれば、LBOを使うと思う。創業家一族、経営陣、従業員、法人株主で組んでビークルを作り、デットで資金を調達する。で、たくさんいる外部株主をスクイーズアウトさせる。大塚製薬と大塚化学ホールディングスの株主構成が落ち着いた段階で、丁寧にグループ内の資本関係を整理していく。同時に、毎年のキャッシュフローを借入金の返済に充てていく。グループ内の資本関係の整理が終わった段階で上場すればよいだろう。上場時の株式売出で得た資金を残っている借入金の返済に充てることもできる。というわけで、僕ならたくさんいる外部株主にお引取り願うところからはじめる。そうしないと重要な意思決定をするために、株主総会を開催するのも大変だろう。
これだけの大規模優良企業なので既に実力のあるアドバイザーがついているのではないかと推測するが、今後どういう展開を見せるのか要注目である。
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