2007年10月アーカイブ

・新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ

山崎元さんの久々の新作である。日本である程度真面目に投資に取り組んでいる個人投資家であれば、一度や2度はは山崎さんの著作を読んでいるはずだし、その影響を強弱は別として確実に受けてるのではないかと思う。かく言う僕も、6、7年前に村上龍のメールマガジンJMMを通じて山崎さんの理論に触れ、それ以降投資の実践や投資観の形成にあたりとても大きな影響を受けてきた。

今回のこの本も、いつもながらの山崎節全開という感じなのだが、今までとはいくつか異なる点(今までの主張の延長線上?)に力点がおかれている。例えば、モダンポートフォリオ理論の否定と行動ファイナンス等の最新のファイナンス研究に関する記述の配分が大幅に増えている。前書きから少しだけ引用させていただきたい。
また、これまで投資について書かれた啓蒙書の多くが、モダン・ポートフォリオ理論や、金融工学と呼ばれる伝統的なファイナンス理論の入門書だったが、本書は、著者なりの理解の下に、行動ファイナンスや、さらにその後に続くファイナンス研究の成果を、いくつか取り入れて、新しい理解に基づく株式市場像を説明している。著者は、行動ファイナンスの研究以降、ファイナンスの基礎は完全に書き替えられた と考えている。理論にご興味がある方は、この点について考えながら読んでほしい。もっとも、本書は抽象的な議論や、まして数式を並べるような不必要に難しい本ではない。

正直なところ、最近の本屋さんに並んでいるような投資本は何を読んでも同じような内容で、例えば効率的市場仮説とその帰結としてコストの安い市場ポートフォリオへの投資を主張するものなど、目新しい観点に乏しく、知的な刺激が足りないと感じていた。そんな中、今回の山崎さんの著作は、伝統的なファイナンス理論への疑問の提示と新しいファイナンス理論の紹介という新鮮な内容であった。しかも、山崎さんが前書きで述べられているように必要以上に難しい内容ではない。むしろ、とても読みやすいし、読んでいて知的興味をかきたてられるのがとても素晴らしい。

山崎さんはいくつもの肩書きを持つ方だが、マイベンチマークという投資教育に関する会社を運営しているとのことである。真摯な態度で、興味深い内容で、わかりやすい表現で行う投資教育の一端がこの本なのだろう。われわれも会計分野において、いつか、ナ・トワの「すべてのひとに最善の会計リテラシーを」プロジェクトから山崎さんの著作のようなクオリティの本を上梓することを目指してがんばりたい。
半分冗談なのだが、ウェブリテラシーを測るための尺度として「ニコニコ動画のID」というのはどうだろうか?というようなことを考えたのは小飼弾氏の次の言葉を読んだ時だ。

実は私もそうだった。私のIDは40万台。まだニコニコ動画がYouTubeに「かぶせて」いた頃から観ていたにしては、決して早い方ではない。その理由がIDの存在。しかし、なぜYouTubeからニコニコ動画がハブられたかのいきさつをみれば、ID制というのは必要悪であり、そしてIDの発給が早い者勝ちというのはその時考えられる状況で最もフェアなものだった。「もし自分がニコニコ動画を運営していたらどうしたか」。私が出した結論は中の人々と同じだった。そう自分が納得した時、すでにIDは40万台だったわけだ。

そしていったんそこに入ったら、もうそれなしの頃には戻れない。ニコニコ動画はそんなサービスだ。

使ってみればわかるのだが、ニコニコ動画がユーザーに魅せる力、ビジネスモデルとしての潜在的な可能性というのは非常に大きなものがある。そして、ニコニコ動画のIDというのはその魅力と可能性にどれだけ早く気づいたのかという指標になりえるのではないだろうか。

ちなみに、僕のIDは70万台。ちょっと遅いかな。

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