2007年5月アーカイブ

ちょっと古いけど何気な大ニュースについて触れたい。ナスダックがOMXと統合、世界2位の証取グループへと5月25日付けのニュースにある。
米ナスダック市場を運営するナスダック・ストック・マーケットと、北欧やバルト諸国の証券取引所を運営するOMX(本社・ストックホルム)は25日、経営統合で合意したと発表した。
 ナスダックによる事実上の買収で、買収総額は約37億ドル(約4500億円)となる。両社傘下の証券取引所に上場する企業の時価総額を合計すると約5兆5000億ドル(約665兆円)となり、東京証券取引所を抜き、NYSEユーロネクストに次いで世界第2位となる。
 合意によると、新会社の社名は「ナスダックOMXグループ」で、最高経営責任者(CEO)にはナスダックのロバート・グレイフェルドCEOが就く。統合後は、コンピューター・システム投資などのコストを削減し約1億ドル(約121億円)を節約するなどで、約1億5000万ドル(約182億円)の相乗効果が生じると見込んでいる。
 OMXは、スウェーデンやフィンランド、リトアニアなどの証券取引所を傘下に収めている。

傘下上場企業の時価総額が、東証を抜いて、NYSEユーロネクストに次ぐ世界第2位になるという点も重要なのだが、注目したいのはOMXという企業の真の実力である。

OMXについて、単に、北欧の証券取引所運営会社として捉えると、その本質を見誤る。WikipediaでOMXについての解説を読んでみると次のように書いてある。
OMX AB (Aktiebolaget Optionsmäklarna/Helsinki Stock Exchange) is a Swedish-Finnish financial services company, formed in 2003 through a merger between OM AB and HEX plc. It has two divisions, OMX Exchanges, which operates seven stock exchanges in the Nordic and Baltic countries, and OMX Technology, which develops and markets systems for financial transactions used by OMX Exchanges, as well as by other stock exchanges. The company is a world leader in financial instruments trading systems.

OMXは、2003年にOM ABとHEX plcの合併により誕生し、取引所部門とシステム開発部門を有している。取引所部門は北欧とバルトの7取引所を運営しており、システム開発部門は、金融取引用システムを他の取引所に販売している。

すごいのは、このシステム部門の実力である。OMX自体のウェブサイトによると会社紹介のページに次のように書いてある。
OMX integrated technology solutions span the transaction chain enabling efficient securities transactions for more than 60 exchanges, clearing organizations and securities depositories in over 50 countries.

OMXが提供するシステムは、50を超える国で、60を超える取引所、決済機構などで利用されている。取引所システムで世界のデファクトスタンダードを握っているのはOMXなのである。そのOMXがNASDAQとくっついた。この後の展開としては、ロンドン証取や東証が世界の取引所再編の中でどのように巻き込まれていくのか要注目である。
・虚構―堀江と私とライブドア

ライブドアのナンバー2経営者でファイナンス事業を取り仕切っていた宮内亮治氏による著書である。私の理解するところでは、内容は以下のとおり。
  • 宮内氏による堀江氏への訣別宣言
    • 冴えない風貌だけど、大言壮語する堀江氏との出会い、ライブドアの経営に係わってゆく過程。
    • 売上と利益の達成に徹底的にこだわるシビアな社長としての堀江氏。
    • 上場したものの事業の核がなく、一貫して宮内氏率いるファイナンス部門が数字を作ってきた。
    • ポータル事業を核と決めた後も、ファイナンス部門による補填は続いた。
    • 衆院選後、遊び呆けるようになり経営への関心を失ってしまった堀江氏に代わり、宮内氏が経営を取り仕切るようになったのは確か。ただ、それまでは堀江氏が完全に実権を握っていた。
    • 芸能人との遊びに夢中になり経営に関心を持たなくなった堀江氏、そして逮捕後に全ての責任を宮内氏になすりつけようとする堀江氏。
  • 刑事事件についての宮内氏の立場の弁明
    • マスコミの勝手な報道と堀江氏の「何も知らなかった」戦術により、黒幕に仕立て上げられかけた宮内氏による、弁明(反論と言うか自らの主張)のパート。
    • 事件に関連する事実関係については事実と認める。当時、粉飾の意図はなかったが、検察のシナリオどおり粉飾と解釈できる点は認める。
    • 堀江氏が「何も知らなかった」としているのは嘘だし、無理がある。
  • 一連のライブドア関連騒動についての内側から背景説明
    • 近鉄バッファローズの件は、当初は本気でなかったが、周囲のあまりの盛り上がりとライバル楽天の登場で引けなくなり本気で取り組んだが敗北。
    • ニッポン放送の件は、村上氏の裏切りと堀江氏がその裏切りを抑えられなかった時点で敗北が決定していた。敗北しながらも1,340億円のキャッシュという果実を得て収束できたのは、フジ側が勝手にこけた(買収防衛のための新株予約権発行が東京地裁に差し止められて失敗)から。
    • 衆院選立候補の件は、堀江氏がスポットライトを浴びる「快感」と「刺激」を求めていたから。また、周囲は広告塔としての「実利」を考え出馬に賛成した。もしかしたら勝てるかもという期待はあったが、結果は大敗だった。
  • 宮内氏の原風景と今後
    • 両親の離婚により、宮内氏と姉の2人は祖母に引き取られ祖母の年金で3人暮らし。
    • 商業高校卒業後に税理士事務所で働き始め、27歳で税理士資格を取得後に独立開業し、弁護士等との共同事務所を創業。
    • 宮内氏直轄のファイナンス部門は少数精鋭で、規律と緊張感の中、皆が実績を上げ稼いでいくのは楽しかった。
    • 今後は、ライブドア中国法人の運営でビジネスパートナーだった人物と中国を拠点としたビジネスに取り組みたい。
いわゆるライブドア事件の暴露本を期待して読むとがっかりするかもしれない。既に「ヒルズ黙示録」や「ライブドア監査人の告白」で明らかになっている内容と比べて目新しい点はあまりない。また、ファンドを利用した取引のスキームについては、図解がなかったりするので読んでいても理解するのが難しい。さらに、刑事事件を意識した弁明がちょっとくどい印象がある。
それでもこの本はおもしろかった。ホリエモンというのビッグネームの傍らで、ナンバーツーである宮内氏が何に価値観を置き、何を目指し、どのように行動してきたのか、その価値観や行動の原点はどこにあるのか、宮内氏という優れた企業経営者の人間像、内面に迫った本として読むとおもしろい。

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